転職エージェントの裏事情をすべて語る。登録時の注意点とは?

転職エージェントの裏事情をすべて語る。登録時の注意点とは?

転職エージェントは求職者の登録されたプロフィールのどういった点を見ているのでしょうか。

今回は、求職者が転職エージェントに登録する際に注意するべき点、意識しておくべきポイントについて、元転職エージェントのマーケティング担当者が転職エージェント側の注視点など、裏事情を交えながら詳しく説明していきます。

転職エージェントのサービスフロー:このページでは”登録”について説明します。

登録フォームに隠された転職エージェントの狙い、裏事情

登録したいという転職エージェントが決まったら、まず行うのが転職エージェントへの登録です。各転職エージェントともに、登録はWebサイトで受け付けています。

しかし、いざ登録しようと思いWebサイトで登録フォームを開いたら「え?こんなに情報を入力しなきゃしけないの?」と、唖然とする方も多いと思います。

そう、ほとんどの転職エージェントの登録フォームは入力項目がこれでもかというくらい、たくさんあります。

履歴書や職務経歴書があればそれを添付することで入力を免除される項目もありますが、これから転職をしようと思っているのにそのようなレジュメを用意している求職者はまずいません。求職者のほとんどの方が各エージェントのフォームに沿って入力していくことになります。

転職エージェントの登録フォームが“重たい”理由

なぜ転職エージェント各社の登録フォームはこんなにも重たいのか。

それには2つの理由と狙いがあります。

まず1つ目、それは転職潜在層の求職者を省きたいとするエージェント側の狙いです。転職潜在層の方は転職するのかしないのか当の本人さえも決められていません。

また、転職潜在層の方の多くは、誰か他人から「今の会社を辞めたほうがよい。こんな求人があるから受けてみるべき」と言われたとしても、まず転職しません。

なぜか。

面倒だからです。

どこかの企業へ応募しようとする場合、ヘッドハンティングのケースを除き、一般的には履歴書や職務経歴書を提出しなければなりません。現職にいながらこれらの書類を用意するのは本当に大変です。

ある営業マネジャーの事例

ここで私の友人の例を挙げます。

彼は35歳、東京在住で学歴はMARCHレベル。大手有名食品メーカーの営業統括部でマネジャー兼プレイヤーとして複数のナショナルクライアントを担当していました。そんな彼がある日、経営層との行き違いからなかなか厳しい社内プレッシャーを受けはじめ仕事がやり難く感じている。転職しても良いかも、という愚痴をこぼしてきました。

話を聞いているこちらとしては、それまでの彼の活躍であったり実績が認められてきたからこそ今のポジションで仕事ができているという状況を知っていますから、彼の言う経営層との行き違いも時間が解決することは間違いないと思いましたし、一過性の悩みだろうと捉えました。エージェント視点では転職潜在層とか顕在層といった枠組みにも分類されない、一般的なビジネスマンの愚痴レベルの話と捉え、ふむふむと悩みに耳を傾けるだけでその日は別れました。

そして1カ月が経過する頃、もう一度彼から連絡がありました。

「いよいよ社内プレッシャーも厳しくやっていられなくなってきた。社長ともギクシャクしている気がする。転職を現実的に考えはじめようかな。世の中にはどんな求人があるのか、自分の市場価値なども知りたいからキミの会社のコンサルタントを紹介してくれないだろうか」と。

このコメントを聞いた私は、彼が転職潜在層のステージに移行したことを認識するとともに、「じゃあウチの食品業界に強いエース級のコンサルタントを紹介するよ。ただし事前にWordで簡単で良いから現職でどういう部署でどういう仕事してきたかまとめて送って。本当は職務経歴書があるとキミとコンサルタントのお互いにとって、面談時間の短縮にもつながるし、経歴が事前に分かれば面談時に具体的な求人も案内できていいんだけどね。でもキミも忙しいだろうから特別に箇条書きレベルの簡易なもので良いよ」と、返事をしました。

一方、私はこうも思っていました。

「結局彼はレジュメを送ってくることはないだろうし、結果的に転職のことは忘れるだろう」と。

了解、と返事をしてきた彼。

しかし、一週間待っても二週間待っても彼からレジュメは送られてきません。

今度はこっちからLINEで連絡してみます。

「おい、レジュメはまだか?」と。

そして送られてきた返事は「なかなか仕事が忙しくて用意できない」というものでした。

いったんここでこの事例はストップしますが、まさにこれが典型的な転職潜在層の意識と行動パターンなのです。

なんとなく転職しようかなと思い、そしてそれを特定の友人や知人に吐露する。でも、いざ具体的なステージに進もうとすると(潜在層から顕在層へ移行しようとすると)、最初の一歩が踏み出せない。現職の忙しさや現組織への郷愁などいろいろと理由はありますが、ひと言でいえば、職務経歴書を用意するのが面倒なのです。なお、この傾向は年齢が上がる程強くなります。

話を転職エージェントの登録フォームに戻します。

もし転職エージェントの登録フォームが簡素で氏名と連絡先くらいしか入力しなくても良いフォームだったとしたらどうでしょう。

今例に挙げた彼のような転職潜在層は、それこそ気軽に登録してくるでしょう。そしてそんな転職潜在層の求職者を転職エージェントのコンサルタントは相手しなければならなくなります。コンサルタントも彼も今回私が行ったようなやり取りをすることになりますし、お互いに時間が消費されるだけです。

転職潜在層のほとんどは転職に踏み切らない。だから、そんな状態の求職者と接触する時間を省く。それが転職エージェントの登録フォームが重たい理由であり、狙いの一つなのです。

ポイント

  • 転職潜在層は結局のところ転職しないことを転職エージェントは知っている

転職活動をはじめるなら、ビズリーチへ登録すべき理由と3つの注意点

フィルターを掛けているという裏事情

続いて2つ目の理由です。

これは少し生々しいですが、転職エージェントは登録フォームに登録された情報を見てさらに求職者の転職本気度を測るととともに、フィルターをかけています。

どういうことか説明します。

多くの転職エージェントの登録フォームでは、氏名、年齢、連絡先といった基本情報をはじめ、学歴、経験業界、経験職種、現在年収、希望年収、希望勤務地と、とにかく求職者がどういったバックグラウンドをもっていて何ができるのかとあなたの経験値を捉えようとしてきます。また、必ずと言ってよいほど各社とも「経験業界や職種のことをより詳しく教えてください」と、フリーワードで入力させる項目があります。

求職者の希望と経験の聞き方、つまり登録フォームのUI/UXの設計は各転職エージェントの腕の見せ所でもありますが、共通しているのは各社とも経験領域をできる限り詳しく取得しようとします。

求職者側としてはこれまでの経験を思い出しながらフォームを埋めていくことになりますから、時間も想像以上にかかります。

転職エージェントの中には「登録は3分で完了します」とWebサイトで謳っている企業もありますが、とんでもありません。やってみると分かりますが、登録フォームへの入力開始から最低でも20分、慣れていない方であれば1時間前後かかるでしょう。

そうやって長い時間と労力をかけて入力したあなたの情報はどのようにエージェントで取り扱われているのでしょうか。あなたとしては、「これだけしっかり入力したのだからしっかりと自分のことを理解してくれるだろう。連絡が楽しみだ」と思っているものと思います。

その頃、転職エージェント側では、次のような視点であなたの情報を見ています。

まずこれは登録した求職者に共通して言えることですが、この重たい登録フォームを突破した時点で皆、転職潜在層から転職顕在層へとステージが上がります。

こんなにもたくさんの項目を埋めてきたのですから、あなたの情報を見ながらエージェントのコンサルタントは「この登録者は、ひとまず本気で転職したいのだな」と捉えてあなたの情報を見はじめます。

まずコンサルタントが見るのは、登録された情報の量です。

「登録情報全体を通して登録されている情報量は一定以上か!?」

そんな視点でコンサルタントは情報を眺め、あなたの本気度をもう一階層深いところでつかもうとします。

ポイント

  • 登録フォームを突破したら転職意欲が高いことは伝わります

フリーワード欄であなたの本気度が伝わっている

登録フォーム上で「必須」とされている項目は登録者全員が入力していますし、氏名や年齢などの文字量は当たり前ですが共通です。ここで言っているのは、「必須」項目の中でもフリーワードで入力できる箇所です。

ずばり、経験業界や職種といった情報です。

これまでの経験業界や職種はほぼ全ての転職エージェントの登録フォームではプルダウンで選べるようになっています。繰り返しですが、ほとんどの転職エージェントが、このプルダウン選択式のほかに「経験してきた業界や職種について詳しくお書きください」とフォーム上で謳っています。

選択したはずなのになぜまた書かせるのか。それは選択式プルダウンの項目は業界あくまでラベルみたいなもので、主に転職エージェント内部で求職者を分類するために使われるからです。

CRM(登録者のエージェント内部での取り扱いプロセス)にも関わりますが、例えば登録者Aさんは、経験業界がITで経験職種がネットワークエンジニアだったとするならエージェント内部のIT専任チームへ情報を配布、例えば登録者Bさんの経験業界が物流業界で経験職種が購買であったら物流チームへといったイメージです。

そうやって求職者の登録情報はエージェント内部で分類され、コンサルタントへと渡って行きます。

そういうエージェント内部の事情があるということのほか、ただ選択されただけの情報では、コンサルタントはあなたの顔が見えてきませんので、フリーワード欄を見るのです。

見ているポイントはこのフリーワードがいかに分かりやすく要点を絞り、具体性を持って書かれているか、です。その文脈から、あなたの転職熱意や本気度を見抜きます。

一定規模の転職エージェントであれば毎日100人を優に超える登録者がきます。その中で、例えばフリーワード欄が空欄の求職者とビッシリと埋められている求職者がいるわけです。

コンサルタント目線に立って想像してみてください。

あなたがコンタクト取ろうと思うのは、どちらの求職者でしょうか。

先ほども記載の通り、転職潜在層に近い求職者はやり取りの時間だけがかかり何も生み出しはしませんから、コンサルタントは極力接点を控えようとします。自然と、登録情報量が多い(転職本気度が高いと思われる)求職者へと優先的にコンタクトをとって行くことになるのです。

ポイント

  • 転職エージェントは登録情報量で転職の本気度を測っている

転職活動をはじめるなら、ビズリーチへ登録すべき理由と3つの注意点

登録情報からあなたの知性が見抜かれている

続いてフィルターの話です。

フリーワード欄がビッシリと埋められていればそれで良いかと言うと、そんなことはありません。フリーワードをビッシリと埋めた場合、情報量としてあなたの本気度は伝えられましたが、さらに大切なのはその質です。経歴がいかに分かりやすく要点を絞り、具体性を持って書かれているかが大切なのです。フリーワードに書かれている内容が分かりやすく具体的か、上手く自分の経歴を文章に落とし込めているか。コンサルタントはあなたの記入したフリーワードの文章力を見て、あなたの知性を見ています。

専門用語を解説する必要はありません。

業界や職種に特化した専任のコンサルタントが見ていますので、そこは捉え違いをすることなく、業界特有の言葉やその職種で使う単語はそのまま書き綴れば大丈夫です。

シンプルかつ明解、そして丁寧に。これがポイントです。

あなたが担当していた仕事の範囲や規模感、本部や部の組織のポジショニングとその組織の目的、個人業務の役割とどういったことを行っていたのかという点を、エンジニアであれば言語を、マーケッターであればマーケティング用語を、管理部門従事者であればメソッドや使用していたツールなど、具体的な固有名詞も交えながら記載すると良いです。

また、このフリーワード欄で、あなたの希望を問う転職エージェントもあります。このケースでは、臆することなく希望を明確に書きましょう。

ここでいう希望とは、転職先や条件への希望と、転職エージェントへの希望と2軸で書くことができます。たとえば、あなたは転職して年収を上げたいと思っているほか、外資系企業、なかでも消費財メーカーに興味を持っている場合、このフリーワード欄にはその旨をしっかり書いておきましょう。

フリーワード入力例

・転職では年収を上げたいと思っています。

・外資系消費財メーカーに興味がありますので、この領域に詳しいコンサルタントとお話ができれば幸いです。

このように記入しておけば、転職エージェント側も外資系消費財メーカーの業界動向に詳しいコンサルタントを事前にアサインすることができますし、次に迎えるコンサルタントとのキャリアコンサルティングの時間が有意義に使えることになります。

ポイント

  • フリーワードには業界従事者しか知らない固有名詞を書いても問題なし
  • 希望をフリーワードで問われている場合は、転職先への希望と転職エージェントへの希望を書き入れましょう

関連記事

ページ上部へ戻る